除草のコストモデル

 乗用型草刈機を使うと、草刈りに要する人数は2人ですむ。乗用型草刈機で刈る1人と、乗用型草刈機で刈りきれない細部を刈る1人となる。これに対して、刈り払い機の場合、5人を要する。除草剤の散布は、敷地内を歩き回る作業となるために、4人が必要になる(図2)。

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図2●出力500kWの除草を1回約18万円に
図2●出力500kWの除草を1回約18万円に
作業のモデルと、刈り払い機を使う場合との比較(出所:原建設建材)
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 さらに、刈り払い機の場合には、刈った草を集めて処分する作業が必要で、これに6人を要する。乗用型草刈機の場合、雑草は粉砕されるので、すき込むような形となり、そのまま放置できるので、この作業は不要となる。

 こうした試算により、乗用型草刈機と除草剤を組み合わせた場合、例えば、作業者(工数)は5人、費用は約18万円となる。これに対して、刈り払い機と除草剤を組み合わせた場合、作業者(同)は3倍となる15人、費用は2倍以上の約37万円となる。

 草刈機は、乗用型をメインに使うことを前提にしている(図3)。刈り払い機は、身体的な負担が重く、時間単位での作業効率が低い。一方、大型で手押し型の草刈機は、時間単位での作業面積は広いが、初期投資が高額で、刈幅が広いためにパネル間を走行できなかったり、搬送に2t以上のトラックが必要など、現実的でないという。

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図3●他の草刈機の特徴
図3●他の草刈機の特徴
刈り払い機(上)、大型の手押し型(下)は太陽光発電所ではメインに使うのが難しい(出所:原建設建材)
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 乗用型草刈機の販売価格は、ほぼ150万円以内となっている。同社の原真人取締役は、この程度の金額なら、発電事業者やO&M事業者が自社で購入して、草刈りする方法が、長期的にはコスト効率的ではないかとみている。

 ただし、発電事業者やO&M事業者によっては、草刈機の保管場所の確保などが難しいことも多く、こうした場合、同社が草刈りを受託することもある。その場合、太陽光パネルの目視チェックも作業に含めているという。

 また、近隣に複数の太陽光発電所を運営している発電事業者の場合、複数サイトの草刈りを委託する方が、運用効率が上がる分、1カ所の委託費を安くしているという。

 電気的な点検を一部、担うこともある。この場合、簡易な方法で、電気的にパネル単位での経年劣化などを把握できる、システム・ジェイディー(福岡市早良区)のパルス検知型システム「SOKODES(ソコデス)」を使っている。