太陽光発電所は、固定価格買取制度(FIT)に基づく20年間、さらに、それ以上の長期間、運用することも想定されている。運用面で、多くの発電事業者やO&M(運用・保守)事業者を悩ませている課題が雑草対策である。

 太陽光パネル上に影がかかり、発電ロスにつながるだけでなく、周辺地域に雑草の種や花粉をまき散らしたり、異臭を生じる、害虫が増えているという印象を与え、苦情を招く恐れもある。

 メガソーラーの雑草管理手法として、現在、除草剤や防草シート、草刈機などが試みられている。発電所が立地する土地の状況や、初期コスト、運用コストなどを考慮しながら、その土地に適した除草管理を模索している状態である。

 O&M事業者や除草事業者にとっては、低コストで、かつ、手間や時間を最小にでき、周辺地域に対しても悪影響の少ない手法を開発できれば、事業を拡大できる好機になる。

 こうした中、土木工事やフェンスなどを手がける原建設建材(福岡県久留米市)が、乗用型の草刈機と除草剤を組み合わせた除草の手法を提唱し、独自のコスト試算も示している(図1)。

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図1●乗用型草刈機と除草剤を併用
図1●乗用型草刈機と除草剤を併用
歩き回る距離を最小化し、コストを低減(出所:原建設建材)
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 乗用型草刈機は、ゴーカートのような小型の4輪車に乗って、敷地内を運転して回るだけで、椅子の下にある回転刃が、伸びている雑草を刈り込んでいく。重い草刈機を持ちながら歩き回る身体的な負担から解放されるだけでなく、面積あたりの除草時間も短いことから、草刈りコストが安くなる。

 一方、除草剤は、乗用型草刈機で刈り切れない架台の下に散布する。両方を組み合わせることで、年間の草刈り回数が減る例もある。草刈りは、夏の暑い時期に年2~3回、必要になる。例えば、3回必要だった太陽光発電所で、除草剤の効果によって、2回に減るという具合である。

 ただし、周辺の地域が除草剤の使用を嫌う場合があり、了解を得ることが条件となる。

 同社の試算では、乗用型草刈機と除草剤を組み合わせた場合、面積約6500m2、出力約500kWの太陽光発電所を除草する場合、刈り払い機(ベルトを使って肩や腰で支えるタイプの草刈機)を使った場合に比べて、1回あたりの除草費は、半額以下となるという。