20度に設置し火山灰を雨で流す

 降灰の影響を最小限に抑えられている背景には、設計上の工夫もある。太陽光パネルの設置角を20度まで傾けたのは、雨で灰が流れやすいように配慮したからだ(図4)。九州のように積雪の心配のない地域では、設置角を10度に寝かせてパネルの影を短くし、アレイ(パネルの設置単位)間隔を詰めて、より多くのパネルを設置する設計も多い。

図4●設置角20度で降灰に備えた(出所:日経BP)
図4●設置角20度で降灰に備えた(出所:日経BP)
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 加えて、パネルを収めるフレームの底部の左側、中央、右側の3カ所に、約8mm幅のスリット(隙間)を3本設けている。雨の日には、このスリットを通じて、火山灰が雨で流れ落ちていく。従来のフレームを使うと、火山灰の一部がフレームの底部に残るという。

 灰が降り積もっても、1週間は、放置することにしているのは、費用対効果を考えてのことだ。29万枚のパネルをすべて高圧洗浄するには、トラック5台を使っても1~2日かかり、人件費やトラックの燃料費、洗浄水などの費用は800万円程度になるという。数日で発電量が回復するとすれば、ここまでコストかけても元が取れないという。

 ただ、今後、天候の状況によっては、降灰による発電量の低下が1週間に及ぶ可能性がないとは言えない。「その場合、発電事業者であるSPCに対応について打診したうえで、高圧洗浄に取り掛かることになる」(北氏)という。