稼働後にも桜島の噴火で火山灰が飛散

 「七ツ島メガソーラー発電所」は、運転開始当初から、安定的な運営に関し、いくつかの懸念が指摘されてきた。1つは、桜島の南西、約20kmに位置しているため、同島が噴火した場合、火山灰が太陽光パネルに降り積もるのではないか、という点。そして、鹿児島湾に突き出した埋立地であることから、波しぶきなどよる塩害のリスクだ。

 稼働から3年経ち、こうした点に関し、実際の運用状況がどのように推移しているのか。

 まず、発電実績に関して、京セラ・ソーラーエネルギー国内営業部・O&M部責任者の北道弘氏によると、「年間の発電量に関して正確な数値は公表できないが、事前に見込んだ年間7880万kWhより、10%程度上振れし、順調に推移している」と言う。

 実は、桜島の噴火活動は、2013年11月に運転開始後も、断続的に爆発を繰り返している。特に2015年には夏から秋にかけ、噴火が活発化し、爆発に伴う噴煙が上空4000mにまで達し、大量の火山灰も噴出した。鹿児島地方気象台の推定では、火山灰の総噴出量は、1カ月間で最大100万tを超えた月もあり、鹿児島市街にも火山灰が積もった(図2)。

図2●鹿児島県が実施している降灰の観測データから推定した桜島火山灰の月別総噴出量(出所:鹿児島地方気象台)
図2●鹿児島県が実施している降灰の観測データから推定した桜島火山灰の月別総噴出量(出所:鹿児島地方気象台)
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 京セラでは、パネルに火山灰が降り積もった場合の対応をあらかじめ決めている。それは、パネル表面に灰が堆積し、予想発電量を下回る日が6日間程度続いたら、高圧洗浄装置で灰を取り除く、というもの。具体的には、トラックの荷台に高圧洗浄機と発電機を載せてパネルに沿って移動しながら29万枚を洗浄するという。

 こうした洗浄作業に備え、常時、5台の軽トラックと高圧洗浄装置などを待機させ、井戸で組み上げた200tの水をタンクに用意しているという。