発電を止めず、洗浄するように塗布
太陽光発電所では、稼働を停止することなく塗布できる。当初は、先端にスポンジなどを取り付けたモップを使い、人手で塗布していたものの、その後、太陽光パネルの洗浄ロボットを応用して塗布する手法に変えた(図3)。事前の洗浄から塗布まで、このロボットを使う。
これによって、適切な薄さの膜を均一に、かつ、より少ない量の材料を使って形成できるようになった。
現地では、まず、太陽光パネルの表面のカバーガラスを洗浄する。脱脂が目的で、純水で洗浄し、乾燥させる。
次に、微細な凹凸を含む膜となる、シリカ系の材料をカバーガラス上に塗布する。無機材料は、液体ではなく、そのままでは塗布できないので、アルコール系の材料を溶媒に使う。洗浄ロボットで塗布し、溶媒が蒸発すると、カバーガラス上で硬化し、膜が形成される。
日中に発電しながら塗布できる上、成膜は常温で可能で、光や熱を使った硬化プロセスも不要となっている。
塗布後の外見は、塗布前に比べて、濃く見えるようになる。紫や黄色といった縞模様を生じることもある。無機材料のため、経年によって変色したり、機能が劣化したりすることも原則的にはないとしている。
5~10年相当の加速試験では、反射防止効果がほぼ変わらないことがわかっているという。ただ、10年以上に相当する加速試験では、効果が落ちる場合がある。
留意点として、太陽光パネルのメーカーによる保証内容について、必ずメーカーに確認した上で塗布を依頼してほしいという。保証の対象外とするメーカーもあるようだ。