宮崎県日向市と東臼杵郡門川町にまたがる丘陵に、出力約24.5MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)「日向日知屋太陽光発電所」がある(関連コラム1)。総合建設会社(ゼネコン)大手の大林組が開発し、特定目的会社(SPC)のOCE日向メガソーラー(日向市梶木町)が発電事業者となる。

 このメガソーラーでは、2つのカラス対策が導入されている。丘陵という立地もあり、施工時から、カラスがフェンスにとまることが多かった。中には、石をくわえて飛び、太陽光パネルの上に落とすことがあり、パネルのカバーガラスが割れる被害が相次いだ。

 こうした被害は、国内の多くのメガソーラーに共通した悩みの一つとなっている(図1関連インタビュー)。太陽光パネルのガラス割れだけでなく、日射計や水道管などにも悪戯し、損傷させる例が知られている(関連コラム2同コラム3)。

図1●カバーガラスが割られた太陽光パネルの例
図1●カバーガラスが割られた太陽光パネルの例
北海道のメガソーラーにおける例。大林組の発電所ではない(出所:日経BP)
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 日向市のメガソーラーが導入したカラス対策の一つは、テグス(釣り糸)である。

 外周を囲むフェンスの上に、わずかに隙間を空けて張った。カラスがフェンスの上にとまるときに、足にテグスが絡まることを嫌がる効果を狙っている。テグスを張ったフェンスの上には、カラスがとまることは見られなくなった。

 もう一つの対策として、アレイ(太陽光パネルを架台に固定する単位)の上に向けて、カラスが嫌がるように光を発する機器を取り付けた(図2)。

図2●日向市のメガソーラーに設置された機器
図2●日向市のメガソーラーに設置された機器
東神電気製(出所:日経BP)
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 アレイの高部に、この光を発するLEDライトを設置している。日中、定期的にさまざまなパターンの光を、カラスが嫌がるようにアレイ上空に向けて発する。

 この機器は、専用の太陽光パネルを備えており、専用の外部電源は要らない。小型・軽量で、場所を取らずに架台の隅に簡単に取り付けられる。

 元々、電柱での活用を想定して開発されたカラスの営巣防止装置を、太陽光発電所で活用することにした。導入したのは、東神電気(大阪市淀川区)製の「ビー・ビー・フラッシュ」で、2種類を10カ所に設置している。

 大林組によると、日向市のメガソーラーに設置した目的は、この発電所における効果を確かめるためという。設置した2種類のうち、1種類は既存の製品(第2世代品)、もう1種類は、東神電気が開発中の新製品(第3世代品)で、フィールドテストに協力している。