大林組が4カ所の太陽光発電所に設置

 大林組が開発・運営している太陽光発電所は、28カ所・40発電所に達し、合計出力は約129MWとなっている。カラスによるパネルの割れに悩まされる発電所もある。

 最初にこの装置を導入したのは、山口県岩国市周東町にある合計出力約2.2MWだった。ここではまず、東神電気から支給された約10個を設置し、効果を検証した。

 また、群馬県太田市新田市野倉町の同約2.3MWにも導入した。この発電所では、2013年11月に売電を開始して以降、約3カ月間で約70枚のパネルが、カラスが石を落としてカバーガラスの割れる被害を受けていた。

 太田市の発電所では、カラス対策として、さまざまな案を検討した。中には、タカを使った退治も含まれていたという。最終的にテグスの設置を採用したものの、対策を施してから1年ほど経つと、テグスが切れたことから、被害が再び増えてきた。

 そこで、新たな対策を検討し、周東町で効果のあった東神電気の装置を採用した。その背景には、テグスによる対策が長期的に通用した場合でも、その後、開発が決まっていた大規模な太陽光発電所では、設置や補修の手間が膨大になることが予想され、より効率的な対策を採用しておきたい意向もあった。

 太田市の発電所では、2015年11月に東神電気の装置を30台設置した。設置後も被害はゼロにはなっていないが、年間10枚程度に大幅に減ったとしている。

 神戸市西区・北区の約9.7MWのサイトでも、カラスの落石によるカバーガラス割れの被害が多かった。そこで、発電所内で、特に被害の多い区域に、まず15個を設置して効果を検証し、一定以上の効果を確認できたことから、発電所全体に60個を設置した。

 現在、これらの4カ所(岩国市周東町、太田市新田市野倉町、神戸市西区・北区、検証中の日向市・門川町)に導入しているほか、カラスによる被害が少なくない他の発電所でも、今後の状況によっては設置を検討していく。