敷地内の雑草は30cm以上に伸ばさない

 みやま高田発電所では、ほぼ月に2回、敷地内を草刈りしている。「雑草は約30cm以上には伸ばさないで管理する」という同社の基準を満たすには、この発電所では、こうした頻度での草刈りが欠かせないという。

 雑草の根付きやすさや伸びる状況、これに対応した雑草対策はサイトによって異なる。同発電所は、雑草が伸びやすく、草刈りの頻度が高い場所の1つという。

 川に面した南側については、敷地外の土地も草刈りしている(図3)。国や地方自治体が所有・管理している場所で、許可を得て月に1回、草刈りしている。

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図3●川に面した南側はフェンス外の土地も草刈り
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図3●川に面した南側はフェンス外の土地も草刈り
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図3●川に面した南側はフェンス外の土地も草刈り
管理者に許可を得て月に1回、刈っている(出所:日経BP)

 みやま高田発電所の草刈りは、この敷地外まで刈る場合で、約2日間を要する。乗用型草刈機を2台、刈り払い機を2台使って、4人で作業する。刈り払い機は、乗用型草刈機では刈るのが難しい場所で使う。

 敷地外まで草刈りするのは、二つの目的からである。一つは、敷地の南側の列の太陽光パネルに、フェンス外の雑草による影がかかるのを防ぐこと、もう一つは、フェンス外の雑草によって、敷地内に風が流れなくなることを防ぐためとしている。

 いずれも、発電ロスの抑制につながる。敷地内に風を流れやすくすると、結晶シリコン型パネルの温度が下がり、発電効率の低下を抑えられる。この効果は、フェンスに近い南側に設置したパネルの実際の発電状況に、はっきり現れるという。

 風の吹き抜けによるパネル温度の低下を目的に、敷地内ではアレイ(太陽光パネルを架台に固定する単位)の下まで刈っている。

 敷地外の雑草は、月1回と頻度が少ないことに加え、今回の取材に備え、「撮影映え」を考慮して、平常以上に間隔を空けて伸ばしていたとし、大人の背丈近くまで伸びていた。

 乗用型草刈機で同じ場所を数回往復し、短く刈り込んでいく(動画1)。

動画1●フェンス外の草刈りの様子
2台の乗用型草刈機で効率的に(出所:日経BP)

 採用している筑水キャニコム(福岡県うきは市)製の乗用型草刈機(関連コラム2)は、この程度の草であれば、一度で刈ることも可能となっている。しかし、九州メンテナンスでは、背の高い草を一気に刈った場合、刈った草の回転刃ユニットからの掃き出しがスムーズにいかない恐れがあると考え、数回に分けて刈り込むことにしている。

 最初は、回転刃の位置を高くして刈り、その後、回転刃の高さを徐々に下げて刈っていく。車体の左側にある操作ボタンを使い、走行中に簡単に回転刃の高さを上下できることで、こうした使い方に対応しやすい。

 敷地外の草刈りでは、公共の場所であることから、刈った後の草を集めて処理している。空圧で吹き集める「ブロワー」を使って、刈った草をまとめる(動画2)。

動画2●ブロワーを使い刈った草をまとめる
敷地外で刈った草は集めて処理(出所:日経BP)

 ブロワーは、敷地内の草刈りの後、太陽光パネルの上を掃除する際にも使っている(動画3)。元々パネル上に乗っていた土埃や浮遊物、草刈りの際に何かの拍子で吹き上がった雑草の破片などを落とす狙いがある。

動画3●草刈り後、パネル上の掃除もブロワーで
元々乗っていた土埃や浮遊物なども落とす(出所:日経BP)

 敷地外とは異なり、敷地内で刈った草については、集めて処分することなく、そのまま放置するという。雑草を粉砕するように刈るタイプの乗用型草刈機を使っていることから、こうした運用が可能で、刈った草を廃棄物として処分するコストを抑えられる。