降圧(バック)型DC-DCコンバーターは、古くからある回路トポロジーである。しかし、過去と現在とでは違いがある。変換効率の向上と総合性能の改善を目的に、常に新しい改良が加えられているからだ。

 初期の降圧型DC-DCコンバーターの回路例を図1(a)に示す。この回路は、主電源スイッチがオフの時に、ダイオードを使った整流器が動作するものだ。当初はこの回路構成だったが、次に変換効率を高めるために開発された回路トポロジーが図1(b)である。何が違うのか。それは、ダイオードの代わりに同期FET(Sync FET)を採用した点にある。同期FETを整流器として使うことで、ダイオードを用いた場合に比べて変換効率を高められる。

図1 降圧(バック)型DC-DCコンバーターの回路トポロジー
図1 降圧(バック)型DC-DCコンバーターの回路トポロジー
(a)は、整流器にダイオードを使った場合。(b)は同期FET(Sync FET)を使った場合である。

 しかしその一方で、軽負荷時において好ましくない副作用を伴うというデメリットがある。具体的には、変換効率が低下することだ。この副作用を解決するために開発されたのがダイオードエミュレーション技術である。今回は、ダイオードエミュレーション技術の特徴とメリットを解説する。