本記事は、照明学会発行の機関誌『照明学会誌』、第101巻、第7号、pp.289-293に掲載された「東北支部:復興の灯り 次世代の灯り(有機EL 照明)」の抜粋です。照明学会に関して詳しくはこちらから(照明学会のホームページへのリンク)。

有機ELと東北

 次世代の灯りとして期待される「有機EL照明」1)は、薄型・軽量の平面照明、高演色性、低消費電力、水銀フリー、紫外線フリー、フレキシブル化可能など大きな魅力を有しており、東北とは非常に深い関わりがある。有機ELの実用技術開発は、1987年のTangら(米コダック)による研究発表に端を発するが、世界初の有機EL商品は、1997年、山形県米沢市でのパイオニアによる有機ELディスプレイであった。また、山形大学では城戸教授が1989年より有機ELの研究を行い、1993年には白色有機ELの世界初の論文発表を行っている。さらに、2003年、山形県によって有機エレクトロニクス研究所が設立され、有機EL照明実用化に向けた取り組みを中心に研究開発がなされた。その成果に基づき、2008年、山形県米沢市に、有機EL照明事業会社「Lumiotec」が設立され、2011年には、世界初の有機EL照明が商品化されている。さらに、現在、山形以外の東北エリアでも有機ELおよびその関連技術である有機薄膜太陽電池への取り組みがなされている。以下、その代表的なものについて概説したい。