スマートハウスの構成要素の1つに、家庭用エネルギー管理システム(HEMS,Home Energy Management System)がある。その制御機能を概念的に分けるならば、家電・照明などの状態を直接操作する「自動制御」と、使用量見える化などを通じて行動変容を促す「間接制御」がある。HEMS設置世帯の省エネルギー効果に関する実証試験によれば、効果の多くは間接制御によってもたらされ、自動制御の効果は少なかったとされる1)

 住宅用照明の自動制御は、省エネ量はさほど大きくないものの、意識調査によれば、消し忘れへの問題意識もあり、自動制御機能を使用中・あれば使用するという声も多い2)。こうした制御を集中管理で実現するという考え方もあるが、現実には、個別製品レベルの機能性向上も著しく、人感センサや調光・調色機能付き照明も今や珍しいものではない。センサ付き玄関照明は、省エネ性だけでなく、家の出入り時にさりげなく照らしてくれるといった利便性に、その価値を見出すことができる。あるいは、生活シーンに応じて光環境を切り替えることで暮らしの質を向上させるというコンセプトにも垣間見るように、照明制御をエネルギー管理の枠にはめ過ぎると本質を見失ってしまう。

 間接制御に目を移すと、その主たる担い手は電気使用量データである。HEMSデータは用途・時間解像度の高さという魅力を備えるが、適用世帯数の多さという点では、家庭部門全体への導入が計画されているスマートメータ(次世代電力量計)への期待も高い。情報提供媒体も多様化し、パソコンや見える化専用端末だけではなく、郵送レポートを用いたサービスも登場し、スマートフォンやタブレット端末の普及も進む。そこで本稿では、家庭向け省エネ情報提供サービスの検討に資することを目的として、そもそもどのような情報が求められているかについて考察する。