夜間街路における視認性確保、特に対向者などの顔の見えは、安全上・防犯上の観点から極めて重要である。視認性を高めるには視対象輝度・背景輝度という適正光量の確保が照明要件としての優先事項となる。また、照明光色は雰囲気形成の重要要因であり、視認性との関わりについても検討が必要である。

 そこで、本報ではLED防犯灯下における人の顔のわかりやすさについて、年齢、照明器具種類・輝度・色温度、観測距離、および視認性評価のための輝度指標について検討する1)2)、注)

注)本記事、照明学会発行の機関誌『照明学会誌』、第99巻、第9号に掲載されたものの抜粋です。本記事に掲載されなかった内容(「LED防犯灯下における視認性評価指標の検討」や「大空間暗室実験結果」)など、全文を閲覧(閲覧にはCiNiiへの登録が必要)するにはこちらから(CiNii内、当該記事へのリンク)。

実験概要

 実験は屋外と屋内(大空間暗室)で行われた3)4)。屋外実験では配光や輝度の異なる7種類の照明器具が用いられ、屋内実験では同一種類の照明器具を用いて色温度と輝度を変化させている。表1に屋外実験で使用した照明器具とランプを示す。屋内実験では表1中のL5を用い、色温度の異なるランプとフィルターを用いて、色温度を2800~12000K(7段階)に変化させている。図1に屋外実験の照明柱と視対象(人の顔)の位置、および観測位置(A~F)を示す。屋内実験では、照明柱2はなく、観測位置はD~Fである。また、条件変更の迅速化のために照明柱1と左右対称に照明柱1’を配置し、いずれか一方を用いた。

表1 照明器具
表1 照明器具
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図1 視対象と観測位置
図1 視対象と観測位置
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 評価は、LED防犯灯から5m向こうのシルエット現象の生じていない人物の「顔のわかりやすさ」である。評価尺度は、図2に示す7段階であり、わかる=7、わからない=1として数値化し、平均値を用いて結果を示す。被験者は屋外実験19名(20~50代)と屋内実験23名(20代)である。

図2 評価尺度
図2 評価尺度
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