有線給電型、消防との共同訓練などで用途を広げる

 太陽光発電以外の用途開拓も進みつつある。例えば、他の再エネ関連では、風力発電所のブレードなどの高所点検への活用も検証した(図7)。

[画像のクリックで拡大表示]
図7●有線給電型のドローンによる風力発電のブレードの点検
図7●有線給電型のドローンによる風力発電のブレードの点検
高所で飛行時間が長い点検に活用(出所:フカデン)
[画像のクリックで拡大表示]

 こうした高所の点検では、通常のドローンでは1回の飛行では済まない場合もある。そこで、有線で給電しながら飛行するドローンを開発した。電力線をつないだまま飛ばし、上空から撮影する。これによって、1回あたりの飛行時間が伸びる。

 飛行の範囲は限られるので、メガソーラーのような広い敷地における撮影には向かない。主な対象は、風力発電所や送電線の点検、電力以外では橋の点検などを想定している。

 電力線の長さは100mで、飛行場所が限られている場合には、ケーブルがリードの役割も担い、飛行時の安心性を増している。

 この有線給電のドローンは、他にないため、引き合いが増えているという。価格については、同社のドローンはすべてカスタム品のため定価はないが、参考として200万円程度としている。通常の蓄電池搭載型の場合、70~100万円が多い。

 災害時の救助などの取り組みも始まっている。豊田市消防署本部とは、山中の火災時の消火、川で溺れた人を救出する水難救助、山中の遭難者の捜索などを目的に、共同訓練を実施している(図8)。

[画像のクリックで拡大表示]
[画像のクリックで拡大表示]
図8●水難救助、山林火災の消火、山岳遭難の捜索にも活用
図8●水難救助、山林火災の消火、山岳遭難の捜索にも活用
豊田市消防本部との合同訓練の例。上は2016年8月に実施した水難救助訓練、中は2016年11月に阿蔵町で実施した消火訓練、下は2016年10月に豊松町で実施した山岳遭難の捜索訓練の様子(出所:豊田市消防本部、フカデン)
[画像のクリックで拡大表示]

 例えば、2016年8月の水難救助の共同訓練では、溺れた被災者を模した人形を発見するだけでなく、ドローンから救助用の浮き輪(浮環)を落とす訓練も実施した。

 ドローンには、下向きのカメラに加え、救助用の浮環の紐を掴む機構を装着した。訓練時には、川幅約80mの河川において、離陸から約35秒で被災者の上空に到着し、浮き輪を落とした。