温度上昇の防止に「日除け」追加

 同社の清掃ロボットは、開発時からの基本構成は変えていないものの、中東やインドなどでの実証の結果を反映して、改良した部分もある。例えば、ロボットを覆うオレンジ色の筺体の上に、黒い布による日除けを取り付けた(図3)。

図3●中東の高温対策に「日除け」を追加
図3●中東の高温対策に「日除け」を追加
オレンジ色の筐体の上に見える黒い布(出所:日経BP)
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 ロボットの温度上昇を抑えるのが目的で、これによって使用している電子部品の動作温度の上限を超えることを防げるという。

 中東のメガソーラーでは、日中は40℃程度まで気温が上がる。発電中の太陽光パネルの温度はさらに高く、65~70℃まで上がっていると見られる。太陽光パネルの直上を走行するロボットにとって、温度の過剰な上昇への対策が重要となった。

 現地の顧客からは、さらに作業効率を向上することも求められた。そこで、より大型で、かつ、高速に作業できる機種を開発した(図4)。

図4●より作業効率の高い機種を開発
図4●より作業効率の高い機種を開発
Type1とType2の概要(出所:未来機械)
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 当初の機種の改良版となる「Type1」は、1時間あたり200m2を清掃できる。搭載しているLiイオン蓄電池の満充電時で2時間、駆動できることから、蓄電池の交換までに400m2の太陽光パネルを清掃できる仕様となっている。

 横幅が1mで、太陽光パネルの短辺より少し長い。短辺にこの横幅を合わせて、長辺方向に移動することで、効率的に清掃できる寸法とした。清掃時の速度は10cm/sとなっている。

 1日に約8時間、稼働すると、出力約3MW分の太陽光パネルを清掃できる。このため、出力10MW以下のメガソーラーや、屋根上の太陽光パネルの清掃に適しているという。

 サウジアラビアやカタール、UAEのメガソーラーで採用され、すでに現地で稼働しているのは、このタイプである。

 作業効率をより高めて欲しいという要求には、新たに大型機「Type2」を開発し、現在は試作機による検証が始まっている(図5)。時間当たりの清掃面積は、Type1の200m2に比べて、最大で約6.5倍となる1300m2に増加する。

図5●縦向き2段のパネルを一度に清掃
図5●縦向き2段のパネルを一度に清掃
高松市のラボにおける様子(出所:日経BP)
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 まず横幅をType1の1mから4mに長くした。これによって、縦置き2段の太陽光パネルを一度に清掃できる(動画2)。中東やインドでは、縦置き3段といったアレイ構成が多く、対応しやすいという。

動画2●縦向き2段のパネルを一度に清掃
高松市のラボにおける様子(出所:日経BP)

 清掃時の速度も、Type1の10cm/sから15cm/sに速めた。清掃速度を増しながら、清掃の品質を維持するためには、ブラシの毛の量や回転速度などを最適化する必要があったという。

 この二つの変更によって、時間当たりの清掃面積を最大で約6.5倍に増した。

 Type2は、出力10MW以上のメガソーラーを想定している。現在、インドのメガソーラーで試作機を実証しているという。