大きな段差への対応、マイクロクラックの検証

 同じように砂塵で汚れる環境と言っても、中東とインドでは違いがある。三宅社長によると、中東では清掃ロボットは一年を通じて使われる一方、インドでは夏は雨季となるために清掃の必要性が減り、秋から冬、春までの三季に活躍する。

 太陽光パネルの設置角は、中東もインドも15度が多いという。

 また、インドのメガソーラーは、隣接している太陽光パネル間の高さが一定せず、大きな段差となっている場合も多いという。施工性の悪さが原因ではないかという。

 段差は、清掃ロボットの走行に影響する。現地で試走させてみて、走行に支障をきたす恐れがあるほど段差が大きい場合には、走行用のローラーを大きいものに交換するなど、使用環境に合わせて調整する場合もある。

 日本の太陽光発電事業者の中には、ロボットによる清掃に対して、太陽光パネル間をロボットがまたいで移動する際に、ローラーがアルミフレームを乗り上げた後、カバーガラス上に音を立てて着地する様子を見て、セル(発電素子)にマイクロクラック(微細な割れ)が生じることを危惧する事業者もいる。

 同社の場合、荷重を集中させないように走行方法を工夫しているほか、ローラーなどにソフトな材質を採用することなどによって、マイクロクラックの発生を防いでいるという。

 大型のType2については、アルミフレーム上をローラーが走行するため、マイクロクラックの発生リスクはさらに小さくなるという。

 また、同社では、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の助成により、ロボットによる太陽光パネル清掃時に、パネルに与える影響について調査しているという。

 清掃ロボットによるマイクロクラックの発生では、両面ガラスでアルミフレームをなくした太陽光パネルの場合、さらにリスクが高まる可能性がある。

 ロボットの走行時に、従来のパネルよりもガラスのたわみが大きくなることによって、ブラシがガラス上を掃くという、清掃の性能にも影響する可能性があるという。耐久性の高さから両面ガラスのフレームレスタイプを商品化するメーカーが増えていることもあり、今後の研究課題としている。