メガソーラー(大規模太陽光発電所)事業では、サイト内の除草をいかに効率化できるかが、20年間の運営における一つのポイントとなる。

 太陽光発電にとって望ましい、日射に恵まれる場所は、植物にとっても育成が進みやすいことを意味する。放置した場合、発電事業への影響はもとより、虫が大量に発生して周辺住民に迷惑をかけることもある。

 発電量の低下は、太陽光パネルに雑草の影がかかることのほか、結晶シリコン系パネルを使っている場合には、アレイ(太陽光パネルを架台に固定する単位)の下側に雑草が繁茂すると、風の通りが悪くなる。これが、パネルの温度の上昇を加速し、夏などの高温時に変換効率の落ちる可能性も指摘されている。

 地表をアスファルトで舗装したり、防草シートを敷設したりすれば、雑草の繁茂はかなり防げる。しかし、これらの手法では、初期投資額が増加するため、導入は進んでいない。また、除草剤の散布は、周辺環境への配慮から採用を見送るケースが多い。

 その結果、多くのメガソーラーでは、初期投資による雑草への対策を、砕石による被覆や、クローバーの植栽といった範囲にとどめ、毎年6月〜8月ころに数回、雑草を刈ることをO&M(運用・保守)に組み込んでいる。

 この「雑草を刈る」作業の効率化が、課題となっている。気温の高い時期に、敷地内をくまなく移動して草を刈ることになり、作業者の身体的な負担が大きくなる。発電所の規模が大きいほど、投入する作業者が多くなり、それが運営コストの増加につながる。

 そこで、この作業者の負担を軽減し、作業効率を高める目的で、乗用型の草刈機を採用するメガソーラーが出てきた(図1)。

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図1●三重県のメガソーラーにおける導入例
図1●三重県のメガソーラーにおける導入例
三交不動産が採用。自社でO&M(運用・保守)まで手がけており、草刈りを効率化するために導入した(出所:三交不動産)
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 ゴーカートのような小型4輪の草刈機で、4輪の間にあたる椅子の下に、草刈りユニットを備える。刃が回転することで、雑草を刈る。作業者は、ゴーカートを運転するイメージで、敷地内を運転して回れば、ほとんどの雑草を刈ることができる。草を刈る作業そのものの身体的な負担が減る上、作業時間が大幅に短縮される。しかも、面積が広くなるほど、作業効率も高まる傾向がある。