日本特有の環境に合わせて改良

 こうした課題の克服を目指して開発したのが、現在の機種となる(図3)。4輪の間に草刈りユニットを収めることで、コンパクトな形状を実現した。

 雑草を刈る高さを変えたり、地面の凹凸の影響を受けないようにするには、回転刃の高さを上下に動かして調整できる。回転刃の高さを低くすれば、雑草をより地面に近い高さまで刈ることができる一方、地面に凹凸がある場合には、地面に刃が当たりやすくなるため、地面の形状や刈りたい高さによって適切に調整する。

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図3●コンパクト化した現在の乗用型の草刈機
図3●コンパクト化した現在の乗用型の草刈機
4輪の間に草刈りユニットを収めた(出所:上はオーレック、下は三交不動産)
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 オーレックによると、草刈りは農作業の中でも負担が重く、一度、乗用型の作業性を知った農家は、従来の方法には戻れなくなるほどという。

 コンパクトな乗用型は、発売当初、現在の基本型に相当する機種を、約55万円で販売し始めた。営農規模の大きい農家ほど農業機械を導入しやすいが、コンパクトな乗用型の投入によって、より規模の小さい果樹園などへの採用も進んだ。最近では五反(0.5ha)程度の営農規模でも使われているという。

 軽トラックで運ぶことができるのも、規模の小さい果樹園が採用しやすい理由の一つとなっている(図4)。

図4●軽トラックで運ぶことができる
図4●軽トラックで運ぶことができる
規模の小さい果樹園でも採用しやすい理由に(出所:オーレック)
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 その後、草刈りの高速化のニーズに対応して、より高い馬力の機種を追加したり、傾斜地などで使う需要に対して、4輪駆動や変速機の段数を増加した機種を追加するなど、多様な要望に対応している。

 現在では、9~23馬力の機種を展開し、価格帯も約44万~100万円と広がっている。

 また、OEM(相手先ブランドによる製造・供給)として、2社に提供している。