軽量化、タイヤ設置の工夫でパネルへの応力を減らす

 試作機は構造体が重厚な作りで、重量が約60kgある。金属部品を樹脂部品で置き換えていくことなどにより、実際の洗浄サービスに使う機種は、半分程度に軽量化する予定という。軽量化によって、パネルにかかる荷重や衝撃を減らす。

 もう一つ、変更するのが、パネル上の移動方法で、これも軽量化とともに、セル(発電素子)への荷重や衝撃を減らす工夫となる。

 洗浄ロボットは、パネルの上にレールを設置し、それをガイドにロボット本体が移動しながら洗う。このレールを支えるタイヤを、パネルのアルミフレーム上に乗るように変える。試作機では、パネル上にもタイヤを置くように設置していた(図3)。

図3●PV Expo 2017に出展した試作機
図3●PV Expo 2017に出展した試作機
実際のサービスに使う実機では、パネルのアルミフレーム上をタイヤで移動(出所:Golden Leaf-Works)
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 このタイヤが、パネルのフレーム上を動くことで、横方向(東西方向)に移動する。

 非接触の洗浄、軽量化、アルミフレーム上の移動はいずれも、パネル表面にかかる応力を小さくし、セルへのマイクロクラック(微細な割れ)の発生を低減するための配慮としている。

 洗浄サービスに使う機種が完成次第、採用を検討する太陽光発電所で実演していく。国内だけでなく、インド、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、中国などからも引き合いがあるという。

 海外から引き合いが多いのは、砂漠などに立地するメガソーラー(大規模太陽光発電所)という。こうした地域では、運転を開始して間がなくても、天候次第で短期間で砂塵に覆われてしまい、出力が落ちることもあるようだ。

 同社によると、日本では圧縮空気だけでなく、アルカリイオン水も噴射して洗浄するが、砂漠地域では、アルカリイオン水なしで、圧縮空気だけでも十分に洗浄効果がありそうだという。乾燥地域では、水を使わずに済む点も武器になると見ている。

 1台で、1日あたり約1MW分の太陽光パネルを洗浄できる。洗浄費は、パネル1MW分あたり50万円(税抜き)からに設定している。この価格には、洗浄費・水の手配費・諸経費は含むが、搬送費は含んでいない。