「遮光率3割なら問題なく育つ」
営農型のメガソーラー事業向けにプロジェクトファイナンスを組成したのは日本で初めてという。事業費は約3億円で、出資金は2000万円、プロジェクトファイナンスによる城南信金からの融資が2億2000万円、社債引受額は4000万円となる。
市民エネルギーちばの東光弘代表は、「これまでに運営してきた低圧太陽光によるソーラーシェアリングでも、パネルの下で大豆などを栽培してきたが、作物の収穫にはまったく影響していない。むしろ日陰の方が生育のよい場合もあるくらい」と言う。
植物には、一定以上の光が当たっても光合成の量がそれ以上に増えない「光飽和点」があり、遮光率が34%以下であれば、どんな作物でも、問題なく育つことがわかっているという。
農地の一時転用制度によるソーラーシェアリングでは、パネルの影による作物の減収率が2割以内であることが、3年ごとの更新が認められる条件になる。ソーラーシェアリングの中には、発電事業を優先して、遮光率が3割を大きく超えているケースもある。匝瑳市の営農型メガソーラーでは、営農を優先して遮光率を3割に抑えているため、この基準を十分にクリアできるとみている。
取材で匝瑳市を訪れた9月半ばには、パネルの下に大豆の苗が順調に生育し、大豆のさやが大きくなり始めていた(図5)(図6)(図7)。
「パネルのない畑の大豆と比べてもまったく遜色ない。農作業の生産性についても一般の畑と比べて問題ない」。匝瑳ソーラーシェアリング合同会社の代表で、市民エネルギーちばの執行社員でもある椿茂雄氏はこう断言する。
架台の高さを2.5~3m確保し、支柱の間隔を4~5m空けておけば、トラクターによる農作業でもほとんど支障がないという。