そこで、再エネを自家消費することによる「創エネ」で、残りの40%削減を達成することになった(図6)。従来のようにFITを利用して売電した場合、購入電力の削減にはならないうえ、環境価値(CO2削減価値)が電気利用者全体に属すため、自社の温暖化対策として位置づけられない。

図6●新組立工場の電力削減の内訳(出所:コマツ)
図6●新組立工場の電力削減の内訳(出所:コマツ)
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 コマツの坂根正弘相談役は、2015年に経済産業省が開催した「長期エネルギー需給見通し小委員会」の委員長を務め、2030年の望ましい電源構成(ベストミックス)の議論を主導した。そのなかで、「まずは、省エネをできる限り積み上げ、それでも足りない分に再エネを最大限に導入することが重要。いずれなくなる化石燃料には依存できない」と、繰り返し述べてきた。粟津工場は、こうした坂根相談役の考え方を実践しているともいえる。