「全面地下ピット構造」で面積効率2倍に

 こうして、まず省エネと生産効率の改善によって、同じ生産規模を維持しつつ、どこまで使用電力を減らせるか、という課題に取り組み始めた。

 新組立工場は、生産工場では珍しい「全面地下ピット構造」を採用し、電源・配管および組立設備を地下のピット内に設置した。加えて、柱の間隔を最大32mに拡張することで生産エリアのスペースを効率的に確保した(図4)。これによる床上のフラット化などの効果で組立ラインを短縮し、面積生産性は2011年度に比べ2倍に改善した。

図4●全面地下ピットを採用した(出所:コマツ)
図4●全面地下ピットを採用した(出所:コマツ)
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 面積が半分で済めば、空調や照明に必要なエネルギーも大幅に減る。加えて、年間を通じて17℃を保っている地下水を冷温熱源とした空調システムを導入(図5)。生産設備に関しても、天井クレーンや車両のテスト装置など、繰り返し動作や発進停止を頻繁に行う設備では、キャパシターも組み込んだ新型の電力回生機能によりエネルギーの有効活用を徹底した。

図5●地下水を冷温熱源とした空調システム(出所:コマツ)
図5●地下水を冷温熱源とした空調システム(出所:コマツ)
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 こうした革新性の高い省エネ手法を地道に積み重ねることで、旧組立工場に比べて使用電力は52%まで削減できるめどがたったが、「90%削減」の達成は容易でなかった。