「農村カフェ」を計画

 テイクエナジーでは、「八天狗」を筆頭に水増集落で有機農法による安全・安心な農産物を生産し、ブランド化していく計画だ。並行して、近隣の古民家を活用した「農村カフェ」を建設し、インフォメーションセンターや宿泊施設として営業する準備を進めている(図12)(図13)。

図12●メガソーラーを核にした観光農園のイメージ
図12●メガソーラーを核にした観光農園のイメージ
(出所:テイクエナジーコーポレーション)
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図13●「農村カフェ」に改装予定の古民家
図13●「農村カフェ」に改装予定の古民家
(出所:日経BP)
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 現在、水増集落の人たちと共に、八天狗で作った豆乳を原料にした新商品開発にも取り組んでいる。シフォンケーキなどの洋菓子に使うと、まろやかな味わいに仕上がるという。

 テイクエナジーの竹元一真社長は、東京の企業に勤めていたが、父親で会長の竹元茂一氏とともに、ベンチャー企業を設立した。「日本の将来を見据え、エネルギーと食糧の自給率を高める事業を一生の仕事にしたかった」(竹元社長)と言う。「FITは、その収益を再生可能エネルギーと農業振興に再投資してこそ意義がある」と竹元社長はいう。

 メガソーラーの売電収入の5%を地域に還元することは、売電事業の収益性を低下させることになる。その点に関し、竹元会長は、「もともと地域社会と連携するNPO(非営利組織)にかかわってきたので、まったく抵抗感はなかった。東日本大震災の後にFITが始まったことを考えれば、再エネで地域を活性するのは自然な流れ。簡単なことではないが、一歩一歩、積み上げていきたい」と気を引き締める。

 水増ソーラーパーク管理組合の荒木組合長は今年70歳。「都会や多世代の人たちとの交流が活発化してきたことで、その日、その日の仕事に希望を持って取り組めるようになった。あと20年はみんなで頑張って、この集落を盛り返していきたい」と語る(関連記事)。