4月1日、住宅など低圧需要家向けの電力販売への参入が解禁となり、電力小売りビジネスが全面的に自由化された。電力小売事業者への登録数は280社に達し、顧客獲得競争が活発化している。1つの電力系統を共同利用する電力小売市場では、電力供給の品質に差がないため、差別化できるのは、「価格」と「電源種別」しかない。「再生可能エネルギーの活用は、大きな訴求ポイントになる」との見方に異を唱える人はいない。

 「再生可能エネルギーを主体にした電気料金プランを、全国規模で提供すると発表したのは日本で初めて」――。3月14日、ソフトバンクの馬場一・執行役員本部長は、「FITでんきプラン(再生可能エネルギー)」発表の会見でこう強調した(図1)。

図1●3月14日に札幌市で開催したソフトバンクの記者会見(出所:日経BP)
図1●3月14日に札幌市で開催したソフトバンクの記者会見(出所:日経BP)
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 同社は、電力供給サービス「ソフトバンクでんき」で、家庭用の電力小売市場に参入した。固定価格買取制度(FIT)の適用を受けた再生可能エネルギー(FIT電気)を電源に組み入れた電気料金プランも、その1つだ。まず、北海道電力エリアと東京電力エリアで4月下旬から提供を開始し、全国のほかのエリアにも広げていく。

 提供する電力のうち、再エネの比率は、年間平均で「約6割」と掲げた。電源構成の計画値(2016年4月1日~2017年3月31日)として、FIT電気・57%、廃プラスチックを燃料にした廃棄物発電・5%、日本卸電力取引所(JEPX)からの調達・24%、その他・14%という構成比を示した。

 FIT電気の主体は、ソフトバンクグループのSBエナジー(東京都港区)の運営するメガソーラー(大規模太陽光発電所)となる。