再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)の施行以降、日本各地で太陽光発電所が開発され、次第に条件の良い用地が減りつつある。そんななか、池や湖、ダムの水面にパネルを浮かべる水上型太陽光発電所の開発が盛んになりつつある。

 農業用などの溜め池や、大雨の際に川の氾濫を防ぐ調整池など、太陽光発電所の候補となる水上のほとんどは、地方自治体や地域の団体が所有・管理している。

 管理している地方自治体や地元の団体にとって、池は管理費用がかかる一方、基本的に収入は生まない場所だった。太陽光発電所に提供する水面の利用権は、これまでなかった新たな収入であり、土地に比べて比較的、安く借りることができる。

 施工時に造成や整地、基礎の形成が不要で、運用時には、除草が不要なことや外部からの侵入を防ぎやすいなどの利点もある。

 水上型の太陽光発電所では、いかだのように水面を浮く部材を使い、その上に太陽光パネルや接続箱を固定し、池の上に浮かべる(図1)。パワーコンディショナー(PCS)や昇圧変圧器(キュービクル)などの重い設備は、池の近くの地上に設置される。

図1●いかだのように水面を浮く部材を使い、太陽光パネルや接続箱を池の上に浮かべる
図1●いかだのように水面を浮く部材を使い、太陽光パネルや接続箱を池の上に浮かべる
兵庫県姫路市船津町にある出力約1.1MWの長池西水上太陽光発電所の例。フロートはフランスのシエル・テール・インターナショナル製。発電事業者は二川工業製作所、EPCサービスは美樹工業(出所:日経BP)
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 太陽光パネルや接続箱を水面に浮かべる部材は、フロートと呼ばれる。地上設置型の基礎と架台、パネルを固定する金具を合わせたような機能を持つ。

 このフロートの大手が、フランスCiel et Terre International(シエル・テール・インターナショナル)である。フランスCiel et Terre Group(シエル・テールグループ)が開発したフロートの世界展開を担う。