バンパーの加工会社が一貫製造

 その後、深谷市の芳沼の出力1.2MWの水上メガソーラーの開発(図5)にあたり、コストが大きな課題となった。Scotra社製のフロートは、信頼性が高く、長期間の運用や保守の点では魅力的だったが、事業性を満たすことが難しかったという。

図5●深谷市の芳沼にある出力1.2MWの水上メガソーラー
図5●深谷市の芳沼にある出力1.2MWの水上メガソーラー
10月に連系する予定(出所:東和アークス)
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 そこで、東和アークスがOtos社に共同開発を打診した。Otos社は、自動車の樹脂製バンパーなどの加工を得意とする。バンパーという、寸法がある程度大きく、かつ堅牢性や信頼性が高く求められる部材を、金型から樹脂成形まで一貫して手がけており、東和アークスの求める安全性と信頼性に加え、低コストを実現できるのではないかと考えた。

 Otos社は、共同開発の持ち掛けに対し、主要部材を一貫供給したいとの意向だった。そこで、レールのような部材を含めて、フロートの主要部材を共同開発し、Otos社が一貫で製造・供給することになった。

 基本的な構想は、これまで採用してきたScotra社との共同開発品に近い。強固なユニットを組み、ユニットを構成する太陽光パネルの枚数や設置角などは、幅広く対応できる(図6)。

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図6●安全性や信頼性を維持しながら、コストを抑える
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図6●安全性や信頼性を維持しながら、コストを抑える
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図6●安全性や信頼性を維持しながら、コストを抑える
韓国Otos社と共同開発(出所:上と中段左は東和アークス、そのほかは日経BP)

 レール状の部材にはアルミを、樹脂部材には発泡ポリプロピレンを使っている。発泡ポリプロピレンは、樹脂材料の中では、相対的に軽量で紫外線に強いとしている。

 樹脂の耐衝撃性や膨張・収縮などに対しては、バンパーを長年手がけてきたOtos社の知見が生きているという。