南北に細長い「不適地」で事業性

 そこで、一軸式の追尾型架台システムの開発に乗り出し、2016年7月に、「ラインズ」として販売し始めた。二軸式の「サークル」に比べ、発電量の増加効果は1.2倍程度になるが、初期コストは1.2倍以下に抑えられる。「売電価格20円台/kWhの案件では、一軸式タイプの追尾架台の方が事業性を確保しやすいため、いまではラインズの引き合いが増えている」(エルム)という。

 これまでに勝央町のサイトを含め、全国10カ所で導入されている。SKYエナジー岡山では、勝央町のほか、岡山県赤磐市の低圧連系案件でも採用し、今年4月に稼働した(図7)(図8)。

図7●一軸式追尾システムを採用した岡山県赤磐市のサイト
図7●一軸式追尾システムを採用した岡山県赤磐市のサイト
(出所:日経BP)
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図8●赤磐市のサイト。南北に長い用地を活用
図8●赤磐市のサイト。南北に長い用地を活用
(出所:日経BP)
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 このサイトも南北方向に細長い用地だったため、固定式架台を南向きに設置しにくかった。一軸式追尾型架台なら、パネルを取り付ける梁(回転軸)は、南北方向に設置するため、南北に細長い用地が適地となる。

 赤磐市のサイトも順調で、4月の稼働以来、近くの固定式架台のサイトに比べ、発電量は約1.2倍になっているという。SKYエナジー岡山の山本会長は、「これまで南北に長い用地など、固定式架台では建設できなかった用地も、一軸式架台を使うことで、太陽光発電事業に活用できるようになった」と話す。