まず、「二軸式追尾架台」を開発

 エルムは、技術集約型のベンチャーで、電子応用機器の受託開発を手掛けるほか、光ディスク修復装置では世界シェア95%を持つ。LED関連や太陽光発電の追尾式架台システムなど、将来性を見込んで、環境・エネルギー分野にも乗り出している。

 実は、追尾型架台システムでは、2014年にまず2軸式追尾システムである「eMAX-SP <Circle>」(イーマックスSP・サークル)の開発・販売を始めた。「サークル」は、最大直径30mの同心円状のベース架台の上に、約50kW分の太陽光パネルを取り付ける架台が載っている。ベース架台が回転しつつ、設置角度を変えることで、常にパネルが太陽と正対するように自動制御されている(図6)(関連記事)。

図6●二軸式追尾型架台「eMAX-SP <Circle>」
図6●二軸式追尾型架台「eMAX-SP <Circle>」
(出所:エルム)
[画像のクリックで拡大表示]

 「サークル」も、約50kWの低圧連系太陽光を想定し、2つの駆動モーターで制御できる。従来の二軸式追尾型架台に比べ、構造がシンプルになり、初期投資や保守費用が低減できるという。エルムでは、「一般的な固定式に比べ、初期コストを約1.2倍に抑えつつ、約1.3~1.5倍の発電量を期待できる。約50kWの低圧連系案件の場合、売電単価32円/kWで20年間の累計売電収入は約5000万円になり、投資効率が高まる」という。

 これまでに「サークル」は、自社分も含め、全国で約100基を設置し、現在、稼働中という。ただ、売電単価が20円台/になると、一定の投資効率を実現するには、さらに初期コストを抑える必要が出てきた。