1つのモーターで192枚の向きを変える

 「ラインズ」の特徴は、低圧連系する約50kWの発電所の場合、1つの駆動モーターで全パネルの角度を制御できることだ。勝央町の案件では、260W/枚のパネルを192枚設置した。縦置きで平均48枚のパネルを1列とし、これを4列、平行に並べた(図3)。

図3●後から稼働した一軸式追尾システムを採用したサイト
図3●後から稼働した一軸式追尾システムを採用したサイト
(出所:日経BP)
[画像のクリックで拡大表示]

 各列のパネル48枚は1本の梁(メインフレーム)に取り付けられており、この梁を回転させることで48枚の向きが同時に変わる(図4)。各列の梁は1本の制御棒(トルクチューブ)のスライドにより回転力を得ており、この制御棒は1つの駆動モーターで動かしている(図5)。

図4●架台の梁(メインフレーム)が回転する
図4●架台の梁(メインフレーム)が回転する
(出所:日経BP)
[画像のクリックで拡大表示]
図5●メインフレームは1本の制御棒(トルクチューブ)で動かす
図5●メインフレームは1本の制御棒(トルクチューブ)で動かす
(出所:日経BP)
[画像のクリックで拡大表示]

 一般的な追尾型架台システムでは、1つのアレイ(パネルの設置単位)ごとに駆動モーターを備え、向きを変えることが多い。1つのモーターで合計200枚近いパネルを制御する架台システムは珍しい。SKYエナジー岡山の山本会長は、他企業の一軸式追尾型架台を検討したこともあったが、システムが大掛かりで初期コストが高く、発電量が増えても投資効果が目標に達しないと判断し、導入を見送ったこともあった。

 「エルムの一軸式追尾システムは、構造がシンプルなため、固定式架台に比べた初期投資の増加が抑えられており、売電単価24円/kWhの案件でも、20年間で見れば32円/kWh並みのIRR(内部収益率)を実現できる」と、山本会長は見ている。