最大で年産300MWの新工場

 「トラブルを乗り越え、新工場が安定稼働にこぎ着けたのは、福島県で採用した社員たちの団結力の賜物」――。アンフィニ(大阪市浪速区)の小寺直人常務・福島工場工場長は、福島工場の社員たちの「頑張り」に目を見張る。小寺常務は、これを「福島プライド」と表現する。

 アンフィニは、「Japan Solar」のブランドで太陽光パネルを製造・販売などを手掛け、売上高約150億円の中堅企業。パネル製造を主体にバイオマス発電やメガソーラー(大規模太陽光発電所)事業、電力小売りも展開している。

 同社が、福島県楢葉町に新たな生産拠点「福島工場」を建設し、竣工式を開催したのは、昨年7月6日だった(図1)。

図1●福島工場の建屋外観
図1●福島工場の建屋外観
(出所:日経BP)
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 竣工式は、福島県の泉利行副知事や楢葉町の松本幸英町長、楢葉町議会の青木基議長など約100人が参列し、盛大に開催された。アンフィニの親川智行代表は、「信頼性の高い太陽光パネルを福島から世界に発信したい。被災地で仕事の場を増やすことで、少しでも復興を支援したい」とあいさつした(図2)。

図2●竣工式の様子
図2●竣工式の様子
(出所:日経BP)
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 新工場では、結晶シリコン型の太陽光パネルを生産する。まず、年産100MW程度を目標にしており、将来的に海外向けも含めて最大で年産300MWを見据えている。

 だが、昨年7月から始まった試験生産では、予想以上に不具合が続出し、当初、本格稼働の見通しが立たない状態だったと打ち明ける。製造設備の初期設定に伴う微調整に手間取るなど、次々とトラブルが発生し、出荷前不良率は10%、つまり歩留まりが9割に留まり、安定稼働にはほど遠い状況が続いたという。