本記事は日経BP社が2017年6月15日に開催したセミナー「テクノロジー NEXT 2017『 医療×AI』の未来~Watsonから未来投資会議、海外事情まで~」での沖山翔氏による講演を再構成したものです。沖山氏を含む、本セミナー講師による全講演の再構成記事は、『日経デジタルヘルス年鑑2018』の第5章に掲載しています。

 「テクノロジー NEXT 2017『 医療×AI』の未来~Watsonから未来投資会議、海外事情まで~」では、医師/ 情報学研究者の沖山翔氏が登壇。「『医療×AI・VR・ブロックチェーン』、世界のトレンドを読む」と題し、指数関数的に進歩するテクノロジーの中から特に注目される7 つを、医療との関連を踏まえて解説した。

キャッチーな事例も進化に一役

 第1に、最近特に注目を集めている人工知能(AI)。注目される要因として沖山氏は「大量のデータ」「ハードウエアの進化」「キャッチーな事例」の3点を挙げた。

[画像のクリックで拡大表示]

 近年はクラウド化により、ドキュメントや写真などさまざまなデータを大量に集められるようになった。その受け皿であるハードウエアも大きく進歩しており、GPU(Graphics Processing Unit)による並列処理が可能になったほか、計算速度そのものも向上している。さらに、囲碁プログラム「AlphaGo」や人型ロボット「Pepper」といったキャッチーな事例によってAIの進歩が広く世間に知られるようになった。「世間からの期待が集まると人やお金がそのフィールドに入ってくるので、さらに進化が加速する」と沖山氏は説明する。

 AIには明確な定義はないが、近年、狭義のAIと理解されているのは機械学習やディープラーニング(深層学習)である。例えば、ある画像から猫を認識する場合、猫に共通する特徴を機械が勝手に学習できるようになったのが、ディープラーニングがもたらしたブレイクスルーだ。ディープラーニングの登場によって「定義しづらい抽象的な概念(特徴量)も扱えるようになった」と沖山氏は説明する。