本記事は日経デジタルヘルスが2017年9月14日に開催したセミナー「動きだす遠隔診療」での加藤浩晃氏による講演の前半部分を再構成したものです。加藤氏を含む、本セミナー全7講師による講演の完全再構成記事は、『日経デジタルヘルス年鑑2018』の第5章に掲載しています。

 ここでは、遠隔診療についてまったくご存じない方にもゼロから分かるような基本的なお話と、遠隔診療にかかわる新しいトピックスの両方についてお話しさせていただきたいと思います。

 まずは簡単に自己紹介をさせてください。私は眼科の医師であるとともに、遠隔医療や医学教育、医療制度教育などに携わっています。1年と少しの間、厚生労働省にも出向していました。

 眼科医として、目の健康を意識した社会づくりに携わったり、遠隔医療を適切に日本中に広めたりしたいという思いで、さまざまな活動をしています。例えば、厚労省へ出向していた時期に学んだ医療制度や医療政策に関して、講演や教育などの活動に関わっています。眼科の臨床の外科医でもありましたので、自ら手術器具をつくったり、教育関連の書籍を執筆したりもしてきました。

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サービス開発や教育に従事

 遠隔診療については、DtoD(Doctor to Doctor)のサービスを提供する会社に携わっており、日本初のDtoDサービスを開発したり、AI(人工知能)や教育プログラムにも関わったりしています。大学院でゼミなどの教育活動を担当しつつ、医療制度や遠隔診療について、セミナーやコンサルティングなどをさせていただいています。遠隔診療を新規事業の一つとして始めようとする企業や医療機関から、相談を受ける機会も増えてきました。

 以下では、遠隔診療に関わる法的解釈、そして本来目指すべき医療の価値ということについて考えてみたいと思います。お話する内容は大きく3つあります。第1に「ゼロから遠隔医療全体を見通すために」という視点から、第2に遠隔診療についてどのような課題が議論されているのか、そして第3に最新トレンドです。