「AppleやGoogle、Samsung、Fitbit、Amazon.comといった大手テクノロジー企業のうちのいずれかが、ウェルネスやフィットネスではなく、FDAの規制対象となるような臨床の領域へ参入する」――。調査/コンサルティング会社の米Frost & Sullivan社(フロスト&サリバン)は2017年12月6日、「2018年ヘルスケア業界の展望」と題する報道機関向け説明会を東京都内で開催し、こんな予測を披露した。一般消費者向けビジネスのビッグプレーヤーが参入することで、医療業界の様相は大きく変わると予想されるという。

登壇したReenita Das氏
登壇したReenita Das氏
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 説明会にはFrost & Sullivan社 Partner and Senior Vice President, Transformational HealthのReenita Das氏が登壇し、2018年のヘルスケア業界について、同社が予想する8つのトレンドを紹介した。その多くがデジタルヘルスに関わるもので、具体的には次の通り。

 (1)PaaS(Product as a Service)型のビジネスモデルが浸透する、(2)クラウドプラットフォームが各社の中核領域になる、(3)ビッグテックカンパニー(大手テクノロジー企業)が臨床の領域へ本格参入する、(4)アプリや遠隔モニタリングなど、バーチャル/遠隔の手法を使った治験が増える、(5)病院で手術や患者ケアを支援するロボットが普及する、(6)アジア太平洋地域が先行する形で、スマートホスピタル(データ活用型病院)が増える、(7)医療分野でのサイバー攻撃が2倍の水準に増加する、(8)企業や保険者による健康増進プログラムの事例が増える。

 (1)では、製品単体売りのビジネスは価格競争にさらされて伸び悩むと指摘。「ビッグデータやAI(人工知能)を活用し、付加価値あるサービスを提供することが重要になる」(Das氏)。(2)では、クラウドをプラットフォームとして活用し、その上にさまざまなアプリケーションを載せて深いデータ分析を可能とするような事業モデルが主流になるとした。