経口薬を内蔵するアイデアも

 このスマートおしゃぶりには、乳児がくわえることで脱水症状の程度を評価できるセンサーや、保水液を供給する仕組みが内蔵されている。乳児が嘔吐した場合、保護者がこのおしゃぶりをくわえさせると、脱水症状の程度を評価した結果がスマートフォンアプリ画面に表示される。さらに、アプリに表示されるいくつかの問診項目に保護者が答えていくことで、病院に連れていくべきかどうかといった、取るべき行動に対するアドバイスが表示される。一方、医療機関側ではダッシュボードを通じて、その地域に住む乳児へのロタウイルス感染の広がりなどを確認することができる。

 脱水症状への対処だけでなく、YourPacifierの応用可能性は無限にあると寺本氏は説明する。唇の状態や唾液、体温など、口からは非常に多くのバイタル情報が得られるからだ。例えば、おしゃぶりにグルコースセンサーやインスリン薬を内蔵する応用や、乳児が知らず知らずの間に服薬できるように各種の経口薬を内蔵する応用などが考えられるという。

 寺本氏らはYourPacifierについて、今回のハッカソンでの提案にはとどめない考え。今後、実用化に向けた具体的な検証や手続きを進めていく。

パネルディスカッションではhealth++に参加した感想のほか、医療分野の制度や課題、イノベーションをめぐる日米の差などを語り合った
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