「月曜日の仕事はできるだけスロースタートにするべき。プレミアムフライデーではなく、“スローマンデー”を勧めたい」。2017年11月22日に開催された「第21回日本心臓財団メディアワークショップ」に登壇した労働者健康安全機構 旭労災病院 病院長の木村玄次郎氏は、こう呼びかけた。

労働者健康安全機構 旭労災病院 病院長の木村玄次郎氏
労働者健康安全機構 旭労災病院 病院長の木村玄次郎氏
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 木村氏らはかねて、65歳未満の勤労者が月曜日の午前中に心血管事故を引き起こしやすいことに着目してきた。例えば、心筋梗塞や脳卒中、突然死、一過性心筋虚血などは、いずれも月曜日の午前中に起こりやすいことが分かっている。

 従来、心血管事故のリスク要因として高血圧が着目されてきた。しかし、健康診断で正常血圧と診断されたにも関わらず、それ以外の時に血圧が高い仮面高血圧の人が、高血圧と診断された人と同様に心血管事故を高頻度に引き起こしているという。

 そこで木村氏らは、心血管事故の新しいリスク要因として、収縮期血圧(SBP)と心拍数(HR)の積である「W-Product(ダブルプロダクト)」に着目した。W-Productを心臓にかかる負荷や心臓および全身の酸素消費量を表すパラメーターとして使用しようと考えたのだ。

 65歳未満の勤労者にとっては、仮面高血圧の中でも、職場のストレスで血圧が上昇する職場高血圧が危険因子と考えた。そこで、勤労者を対象に1日当たり4回、血圧と心拍数の測定を行った。具体的には、自宅にいる起床時と就眠時、職場にいる午前10時と午後4時の計4回である。