業務管理や病床管理にもメリット

 治療の質が高まっただけでなく、院内スタッフの業務管理や病床管理の面からも効果があったという。「治療難易度の高い患者ばかりを特定の医師や看護師に集中させないといった、院内スタッフのストレス管理に役立っている。患者の退院時期を早期に予測できるので、病床が空くタイミングが事前に分かるなどベッドコントロールにも有用だ」(藤田氏)。

 近年、精神科領域では厚生労働省も早期退院を推奨する方針を打ち出しており、「早期退院のための院内体制やオペレーションを確立する取り組みが欠かせなくなってきた。精神科医療は大きく変わるべき時を迎えている」と藤田氏は話す。精神科医療に機械学習による科学的指標を持ち込むことを目指す慶應義塾大学の岸本氏は「人間の心のすべてを機械で読み取れるとは思わないが、その一部を定量化することで精神科医療の質を高めていきたい」と話している。