「医療情報システムは従来、業務上の課題解決には役立ってきたが、医療そのものを担ってきたわけではない。オーダーリングシステムの役割から脱皮できていない現状のままでは、機能は飽和し価格が安くなるだけ。医療情報システムを扱うのは“購買部門”の仕事になってしまう」――。

 帝京大学 医学部 教授で日本医療情報学会関東支部会長を務める澤智博氏は、医療情報システムの現状にこう警鐘を鳴らす。業務効率を改善するツールという従来の役割にとどまるのか、「医学や医療の課題を解決する存在になれるか」(同氏)。医療情報システムはその岐路に立っていると同氏は見る。

「TBC(Translational Bioinformatics Conference) 2015」のプレカンファレンスに登壇し、医療情報システムが抱える課題を指摘した澤氏
「TBC(Translational Bioinformatics Conference) 2015」のプレカンファレンスに登壇し、医療情報システムが抱える課題を指摘した澤氏
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