心疾患の予防につながる食――。日本心臓財団とエドワーズライフサイエンス、和歌山県が発表したのは、そんな食事のレシピ「ハートレシピ」。2015年に発表した高知県とのコラボに続く第2弾となる今回は、減塩や野菜の多さのほか、和歌山の食材をふんだんに使う点が特徴になっている。

ハートレシピの一例。和歌山のブランド牛「熊野牛」を使う焼肉丼など。果物を使ったタレを作り、塩分を抑える
ハートレシピの一例。和歌山のブランド牛「熊野牛」を使う焼肉丼など。果物を使ったタレを作り、塩分を抑える
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こちらは夏の朝食向けで茶がゆなど。金山寺みそは鎌倉時代に中国から和歌山へ伝わったとされる
こちらは夏の朝食向けで茶がゆなど。金山寺みそは鎌倉時代に中国から和歌山へ伝わったとされる
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 レシピは主に和歌山県立医科大学付属病院の病態栄養治療部 栄養士長の川村雅夫氏が開発し、同大学の理事長で学長の岡村吉隆氏が監修した。朝食から夕食までの3食分を、四季に応じて2セットずつ、合計24レシピを用意した。太刀魚やほろほろ鳥、えんどう、柿、みかんなど、和歌山県の収穫量、出荷量が多い食材を多く取り入れた内容になっている。

砂糖を減らし、電子レンジを使うのが減塩のコツ

 心臓血管外科医として長年のキャリアを持つ岡村氏は、「日本の心臓外科手術では近年、心臓弁膜症や胸部大動脈瘤など、動脈硬化を原因とした病気が増えている。心臓外科で扱うのは、ほとんどが生活習慣病といえるほど」とし、減塩による心疾患予防の重要性を訴えた。「今は年間を通じて手に入る食材が多いこともあり、食材の“旬”を感じにくくなっているのではないか。その結果、素材の味を大切にせず、調味料による味付けが過多になる傾向を感じる。ハートレシピを通じて、もっと“食”に興味を持ってもらえたら」(岡村氏)。

和歌山県立医科大学の岡村吉隆氏
和歌山県立医科大学の岡村吉隆氏
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和歌山県立医科大学付属病院の川村雅夫氏
和歌山県立医科大学付属病院の川村雅夫氏
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こちらは春の昼食向けでドライカレーなど。牛ひき肉から出る油を使っていためることで、油の使用量を少なくすると、その分、塩分も抑えられる
こちらは春の昼食向けでドライカレーなど。牛ひき肉から出る油を使っていためることで、油の使用量を少なくすると、その分、塩分も抑えられる
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 川村氏は減塩でも美味しく食べられる料理の工夫をいくつか紹介した。一つは、砂糖の使用量を抑えること。砂糖を使えば、応分の塩を入れて味のバランスを取ることになるため、まず砂糖を減らすことが重要という。加えて、砂糖や塩を抑えても美味しさを感じられるよう、電子レンジの利用も推奨する。電子レンジ調理は栄養素の流失が少なく、材料の水分が蒸発する分、素材の味が濃く感じられるためだ。さらに、料理の色彩も重視する。緑、黄、赤、黒の「料理の4原色」を効果的に使えば、料理の見た目で食欲を刺激できるという。