「保険外リハビリ」にある大きなニーズ

 2番目に登壇したワイズは、“リハビリ”を事業の軸とする。早見氏がピッチで取り上げたのは、同社が2年前から展開する脳梗塞後遺症に特化した「脳梗塞リハビリセンター」。同センターは東京・神奈川・千葉に5店舗(2016年10月15日には東京・立川市に新規オープン)を構える「保険外のリハビリサービス」(早見氏)だ。

ワイズの早見氏
ワイズの早見氏
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 およそ20年にわたりIT業界の最前線を走ってきた早見氏がリハビリ事業を始めたのは、自らが腰椎椎間板ヘルニアで寝たきりになった経験から。最初に立ち上げたのは介護保険適用のリハビリ事業だったが、その後、自費診療型の脳梗塞リハビリセンターを開始した。これは介護保険内のリハビリに限界を感じたからだ。

 「介護保険を適用できるのは、デイサービスや訪問リハビリ。複数人のグループワークが中心のため、個別リハビリの時間がほとんど取れない。デイサービスでも個別で機能訓練をする時間が決まっている。自分は2時間でも3時間でもやりたいと主張してもできないのが実態だ」(早見氏)。

 脳梗塞は全国で約150万人の後遺症患者がおり、その症状も千差万別だ。それだけに患者一人ひとりに合ったオーダーメードリハビリを心がけている。個々人に対してカウンセリング、プランニング、リハビリ治療、フィードバックを繰り返し、評価メソッドの確立に尽力してきた。「例えばスマホやパソコンを触りたいのでとりあえず右手を動かしたいという若者、料理を再開するためにキッチンでリハビリしたいという女性など、人それぞれでリハビリの内容は全く異なる」(早見氏)。センターでは理学療法士、作業療法士、言語聴覚士がケアするほか、鍼灸治療もメニューにそろえている。

 知名度が増してきた最近はケアマネジャーや医師からの紹介で訪れる人も増えたが、今でも85%はインターネット経由で訪問する。当初は脳卒中という命名を考えたが、検索ベースでは脳梗塞のほうが圧倒的に多いことに着目し、センターの名前を決めた。早見氏は「ほとんどの後遺症関連のキーワードでSEOの3位以内に入っている。そういう仕組みを最初に作った」と、IT業界出身ならではのノウハウを披露した。

 こうしたインターネット中心の集客成果もあり、海外でも認知度が高い。実際に示したのは中国在住・51歳のIT企業オーナーの例。北京の高級病院に行っても改善せず、噂を聞いて同センターを訪れた。早見氏はこの経験から「日本のリハビリはブランド力がある。デジタルと融合することで、グローバル市場に打って出たい」と今後の抱負を語った。