亀田グループの取り組みとは…

 「遠隔診断・コンサルテーション支援」をテーマにした一般演題では、亀田総合病院デジタルパソロジー特任部長の原田大氏、熊本総合病院病理診断科部長の猪山賢一氏、兵庫県立淡路医療センター病理診断科の加島志郎氏が講演した。

 原田氏は、亀田グループが2017年1月に東京都千代田区に開設した麹町Digital Pathology Centre(DPC)の活動内容を紹介した。同センターは、千葉県鴨川の本院や京橋・幕張の両クリニック、長崎大学などを結ぶイントラネットでネットワーク化され、本院の電子カルテにつながる病理部門システムのデジタルパソロジーシステム(Philips社製)で病理画像共有やカンファレンスができる環境を構築している。

 現在、4人の病理医が勤務し、主に本院の病理医と病理診断チェック体制を敷く。具体的には、麹町DPCの病理医がWSIで診断、本院の病理医はガラス標本を顕微鏡でチェック、さらに提携病院(聖路加国際病院)の病理医が麹町DPCにてWSIでチェックするトリプルチェック体制だという。

 開設以来、これまでに770症例を診断しており、WSIと顕微鏡診断で判断の何らかの乖離があったのは48症例(6.2%)。そのうち、ガラス標本の顕微鏡チェックが正しいと思われたのが43例、WSIでのチェックが正しいと思われるのが5例だったという。「WSIでは拡大画像が非常に鮮明である上、全体を見渡しやすい。WSI診断の優位性は、ガラス標本(の診断)よりも微小病変を見落としにくいという印象がある」(原田氏)と述べた。