「生涯活躍のまち」構想と名付けられた日本版CCRC。地方版総合戦略と密接に連携しながら展開していくだけに、まだ緒についたばかりだが、一方で具体的に動き始めている自治体や事業者もいる。2015年9月4日に開かれた報告会「日本版CCRC推進会議 第4回」では、こうした先進事例の担当者をパネリストに迎え、聴講者を交えながら積極的な意見が交わされた。司会進行は三菱総合研究所 プラチナ社会研究センター 主席研究員の松田智生氏が務めた。

 参加したパネリストは次の通り。

・アーベイン・ケア・クリエイティブ 企画開発室 室長 山下直基氏
・山梨県都留市 総務部 企画課 課長 紫村聡仁氏
・国土交通省 住宅局 住宅政策課 課長 住本 靖氏
・三菱総合研究所 社会公共マネジメント研究本部 主席研究員 長谷川 専氏

パネル討論の参加者。左から、松田氏、山下氏、紫村氏、住本氏、長谷川氏
パネル討論の参加者。左から、松田氏、山下氏、紫村氏、住本氏、長谷川氏
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――本日の報告では、まち・ひと・しごと創生本部の方から、「生涯活躍のまち」構想という中間報告の概要が示された。国・地方自治体・民間が三位一体となり、地方版総合戦略において構想を規定するものとなっている。これについて意見を聞きたい。

山下氏 我々は一民間企業だが、今回の構想には行政が絡んでくる。するとどうしても「公平性」という問題が出てきてしまう。民間に主導権を置きながらバックアップしてくれるような取り組みを検討してほしい。

紫村 都留市では「大学連携型CCRC」という観点で進めているが、計画はまだ原始的なものに過ぎない。自治体が基本計画を作るにしても、どこにもないものをこれから作り上げなければならない。一方で国が示した構想は、とりわけ自治体の関わりを強く打ち出していることから、これから進むにあたって強い味方になる。裏を返せば先進的に進めている都留市が、具体的に実現すべき立場を担っているということでもある。