「介護ロボットフォーラム2015 in 新横浜」(主催:かながわ福祉サービス振興会)が2015年9月15日に開催され、介護の現場の視点からロボット導入に関する講演が行われた。七沢リハビリテーション病院脳血管センター病院長の山下俊紀氏は、介護ロボットの開発に関わる立場から、リハビリ支援ロボットの効果や開発において大切なことなどを語った。

講演する七沢リハビリテーション病院脳血管センター病院長の山下俊紀氏
講演する七沢リハビリテーション病院脳血管センター病院長の山下俊紀氏
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 七沢リハビリテーション病院脳血管センターはさがみロボット産業特区の中心に位置し、介護ロボットの実証フィールドの一つとなっている。山下氏は「ロボット研究開発拠点都市プロジェクトチームアトム」の手指機能回復に向けたリハビリを補助するロボット「パワーアシストハンド」の開発などに協力してきた。

 パワーアシストハンドは、樹脂製のジャバラが付いたグローブをはめて使う。ジャバラへの給気と吸気を制御してジャバラを膨張・収縮させることで、手指関節の屈伸運動をアシストするというもの。手指にこわばりがある人、関節が固まりかけている人などのリハビリに使える。さがみロボット産業特区から商品化された最初のロボットだ。

脳の活性化にも期待

 山下氏は「ケガからの回復とは異なり、脳卒中などで麻痺が出た場合、リハビリをしても完全に元通りにはならないこともある。できなくなったことをある程度できるようにしたり、右手でできなくなったことを左手でできるようにしたりするのがゴールとなる。さらには、できなくても、くよくよしないこと自体がゴールになるケースもある。そうした中でリハビリを続けるのは難しいことだが、それを介助できて、かつ他人の手を必要としないものがあれば、続けやすくなるはず」とリハビリ支援ロボットの意義を語る。

 また、リハビリ支援ロボットは、脳の活性化にも役立つという。「ロボットを使って、自律的には動かせなかった手や足を動かすと、脳のどこかに反応が出るといったことから、体のどこかを動かす際に脳のどこから指令が出ているか、その位置を見極められる可能性がある。実際に、BMI(ブレーンマシンインターフェース)を使ったリハビリ手法を大学が研究している(明治大学の発表資料)」。