介護ベッドや電動車椅子が、高齢者を傷つけたり死亡させたりする“凶器”に化ける――。そんな事故が、全国で少なからず発生している。製品評価技術基盤機構(NITE:ナイト)によれば、2011~2015年度に報告された介護ベッドの製品事故の約7割、電動車椅子では約8割が「死亡」「重傷」といった重篤な被害を伴うものだった。これらの事故は果たして、どのような背景で起きたのか。

NITEによる説明会の様子
NITEによる説明会の様子
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 NITEは2016年9月15日、東京都内で報道機関向け説明会を開催。過去5年間に高齢者が介護ベッド、電動車椅子、温水洗浄便座を使用した際に起きた製品事故について、NITEに通知された情報を紹介した。具体的な事故事例を挙げて、再発防止に向けた注意喚起を行った。

 2011~2015年度にこれら3品目でNITEに報告された製品事故(消費生活用製品安全法に基づき報告された「重大製品事故」と事故情報収集制度により収集された「非重大製品事故」)は、計97件。製品品目別の内訳は介護ベッド53件、電動車椅子28件、温水洗浄便座16件である。

 介護ベッドでは約3割、電動車椅子では約4割で、使用開始から1年未満に事故が発生。介護ベッドではサイドレールなどの隙間防止措置を怠っていたこと、電動車椅子では使用者が使用に不慣れだったことなどが主な要因だ。