「より注意を払って問診する傾向に」

 このほか川田氏は、「患者の情報取得」という観点から、対面診療とオンライン診療の違いを指摘した。具体的には、身体所見から得られる情報は、対面診療では制限はないが、オンライン診療では家族や訪問看護師などの助けがないと触診は困難。「それゆえ視診が極めて重要になる」(同氏)。一方、問診から得られる情報については、「オンライン診療の方は画面越しの診療になるため、集中することで対面よりもコミュニケーションが濃密になる傾向がみられる」(同氏)。

 つまり、オンライン診療では、身体所見から得られる情報が制限される反面、より注意を払って問診する傾向があるというわけだ。その点が、より効果的になる領域として、川田氏は「代表例は、今回研究で取り上げた禁煙外来だと考えている」とした。

 なお、今回のオンライン診療と対面診療を組み合わせた禁煙プログラムは、「禁煙治療のための標準手順書」(日本循環器学会・日本肺癌学会・日本癌学会・日本呼吸器学会承認)に沿って行ったが、呼気の一酸化炭素測定については実施していない。「オンライン診療で不足してしまう項目は呼気の一酸化炭素測定のみ。それ以外については対面診療と同等、もしくはそれ以上の診療の効果があると考えている」(川田氏)。