「医師に勧められて使い始めたユーザーは、最初は約60%、3カ月後でも約40%の人が利用している。3カ月間使い続けると習慣化するため、それ以降の減少はあまり見られない」――。モバイルPHRの「Welbyマイカルテ」を展開するウェルビー 代表取締役の比木武氏は、「第17回 日本糖尿病情報学会年次学術集会」(2017年9月2~3日、佐賀市)のシンポジウムに登壇し、このように語った。

ウェルビーの比木氏
ウェルビーの比木氏
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 Welbyマイカルテは、糖尿病や高血圧患者などを対象に、スマートフォンで血糖値や血圧などの自己管理を支援するPHR。各種の測定機器で取得したバイタルデータをアプリに簡単に取り込めたり、写真で食事内容を記録したりできる(関連記事)

 スマホを活用した同様のモバイルPHRは現在、各社からさまざまなサービスが提供されている。こうした中、比木氏は「その多くは健康維持やダイエット、予防の領域を対象としているのに対し、Welbyマイカルテは実際に通院中の患者向けのサポートツール」と位置付ける。

 モバイルPHRなどの健康管理ツールは、興味本位でダウンロードして利用してみようというユーザーは多いが、利用を継続するアクティブユーザーが非常に少ないとされる。その傾向はWelbyマイカルテにも見られるが、医師に勧められるといった医療機関と連携した運用の場合のアクティブ率は、際立って高いという。それが、比木氏の冒頭のコメントである。

医療機関との連携した運用で利用継続が高まる傾向がみられるという
医療機関との連携した運用で利用継続が高まる傾向がみられるという
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 糖尿病の重症化予防の基本は、生活習慣の改善や治療継続にある。それに資する一つの要素が、モバイルPHRを介して医師などとのコミュニケーションが確保されることだというわけだ。「クリニックによって差はあるが、特に管理指導が熱心な医師の場合は非常に高い継続率が維持される」(比木氏)。医療機関と情報を共有することで“見られている”という意識が働き、患者のモチベーション向上につながるからだ。