2015年9月4日に開催された、第4回となる「日本版CCRC推進会議」(主催:三菱総合研究所)。省庁関係者(内閣官房と国土交通省)による発表に続き、唯一、事業者として登壇したのがアーベイン・ケア・クリエイティブ 企画開発室 室長の山下直基氏だ。同社は岩手県八幡平(はちまんたい)市でサービス付き高齢者住宅の「オークフィールド八幡平」を建設中で、同年11月から運営を開始する。

 オークフィールド八幡平は、周辺にスキー場で有名な安比高原リゾートや八幡平リゾート、八幡平温泉郷を抱える。こうしたリゾートエリアの中で、山下氏は「八幡平版CCRCを実現しようと奮闘中」だと話す。

アーベイン・ケア・クリエイティブ 企画開発室 室長の山下直基氏
アーベイン・ケア・クリエイティブ 企画開発室 室長の山下直基氏
[画像のクリックで拡大表示]

 コンセプトは「生きがいの創出」だ。山下氏は「リタイア後の移住者でも何かしらの役割がある。その役割をコーディネートするのが役目」と述べ、具体策として4つのアイデアを示した。

 すなわち、(1)シェア農園などを活用した農業、(2)岩手県立大学など地元の大学と連携した生涯学習、(3)アートイベントの開催・支援などを行なう芸術文化、(4)事業支援や協同事業などを模索する若者支援、である。「移住する方々にとっては『ここに住んでください』と促しても、なかなか具体的に行動するのは難しい。余暇をどう過ごすのかを示すのではない。我々が橋渡しを手伝うことが必要になる」(山下氏)。

 例えば入居者が育てた野菜や、近隣の川で採ってきた魚を同社が買い取り、住居内のレストランの食材とすることも想定。山下氏は「入居者の方には少しでも収入を得てもらうことを考えている。趣味で生きることも大事だが、少しでもお金をもらって、仕事にする。責任と張り合いを持ってもらうことも大切になる」と話した。