下肢麻痺患者のリハビリテーション支援ロボット「ウェルウォーク」
下肢麻痺患者のリハビリテーション支援ロボット「ウェルウォーク」
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 2007年に医療・介護ロボットの開発を発表したトヨタ自動車。足掛け10年が経過した2017年9月、その第1弾となる下肢麻痺患者のリハビリテーション支援ロボット「ウェルウォーク」を満を持して事業化する(関連記事12)。

 そんな同社が次に仕掛ける展開は――。同社 パートナーロボット部 部長の玉置章文氏は、2017年6月23日に開催された「ウェルビーイングイノベーションシンポジウム~次世代ヘルスケアが実現する、新しい社会を探る~」に登壇し、今後の展望を語った。

トヨタ自動車 パートナーロボット部 部長の玉置章文氏
トヨタ自動車 パートナーロボット部 部長の玉置章文氏
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 まず、開発を進めているのが、脳卒中を含む軽度脳障害やサルコペニアなどの高齢化による足腰の弱体化に対応する機器だ。病気を発症した後のリハビリテーション支援での活用などを想定する。「まだ実証を行っている最中だが手ごたえを感じている」(玉置氏)という。

 脳卒中で重い下肢麻痺を患う患者のリハビリテーション支援ロボットの開発も進めている。さらに、元気な高齢者が外出しなくなり外部とのコミュニケーションが希薄になるという課題を解決するためのロボット開発も構想しているという。

 介護する側の負担を軽減するロボットの開発も目指す。一つは、被介護者をベッドから車いすに乗せ換える動作。ほとんどの人が腰を痛めるこの動作をロボットで支援したい考えだ。もう一つは、被介護者との対話傾聴。「会話することが認知症の進行を抑えるという研究データもある。眠れない高齢者に寄り添って朝まで会話をするようなロボットを作りたい」と玉置氏は述べる。

 同社は医療・介護ロボットの開発を行うに当たり、同社では24時間2人がかりの介護が必要な筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の日常生活に密着した。そこで目の当たりにしたのは、介護者に細々とした用事を頼むのは悪いと感じ、患者が我慢してしまう様子だった。「もしロボットがあれば、人に頼まなくてもかゆいところを掻いたり冷蔵庫を開けたりすることができる」と玉置氏は期待する。