iCARE

 トップバッターのiCAREは、チャットを用いた法人向けの健康相談サービス「carely(ケアリー)」を運営。現役の産業医である山田洋太氏が代表取締役CEOを務め、企業の従業員が気軽に相談できる「オンラインの保健室」をイメージしている。

 相談に対応するのは、医師、看護師、保健師、カウンセラーなど。2016年3月に立ち上げたばかりだが「月間の利用率が10%超で伸びている」(山田氏)とのことで、既に27の企業、合計4500人ユーザーを抱える。

iCARE 代表取締役CEO 山田洋太氏
iCARE 代表取締役CEO 山田洋太氏
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 山田氏はチャットだからこその利点をアピールした。「これまでも健康相談サービスはあったものの、その多くが電話や対面。顔の見えない相手に対して電話で話すのは敷居が高い。ましてやそれが心の問題だったりしたらなおさらだ。carelyではチャットにより情報を見える形にし、双方向の手段を確立した」(山田氏)。

 企業から健康診断結果、ストレスチェック結果を入手し、個人とひも付けることでパーソナルアドバイスを受けられることも特徴の1つ。相談内容はメンタルケアが最も多く25%を占め、それ以外は多岐に渡る。こうしたメニューにより、「従業員の健康や病気に対する問題が効率的、効果的に解決されるようになった」(山田氏)。

 チャットであれば並行して複数人の相談を受けられることから、1人の保健師が年間1万人を担当できるとする。従業員も仕事の合間に相談することが多いため、即時回答ではなく昼休みや夕方以降に回答するなど、「タイミングを見計らって返信する」(山田氏)ことが鍵になる。

 遠隔診療との線引きについては、明確に“健康相談”を打ち出すことで回避する。一方で、専門家の視点で通院すべきクリニックや病院を提案するなど「選択肢を絞るアドバイス」(山田氏)を提供。今後は他のヘルスケアオンラインサービスやスポーツジムとの提携強化、健康リテラシーを身につけるための研修サービス、ウエアラブルデバイスのサポートなどに力を入れていく予定だ。