「生まれ変わる薬局」をデジタルで積極支援

 最後に登壇したグッドサイクルシステムは、設立12年目の企業。処方箋を取り扱う薬局向けの電子薬歴管理システムとしてパソコン/iPadを用いた「GooCo(グーコ)」などを主力サービスとして展開、2016年2月には売上高10億円を超えた。

グッドサイクルシステム 代表取締役の遠藤朝朗氏
グッドサイクルシステム 代表取締役の遠藤朝朗氏
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 同社が新たな事業として見据えるのが、電子お薬手帳、薬局システムのクラウド化、薬局向けのレセプトコンピュータ(レセコン)だ。2015年10月、医薬分業の原点を見つめ直し、患者本位のかかりつけ薬局を再編することを目的とし、厚生労働省が「患者のための薬局ビジョン」を策定。これにより、薬局業界は激変の時代を迎えていると遠藤氏は語る。「今までの薬局は立地本位の陣取り合戦だった。病院前に開設すれば儲かった時代から、患者=顧客に対してどのようにアプローチするかという時代へ変貌する。そして、人材としての薬剤師をどのように活用していくのかが求められている」。

 こうした観点から、患者に対しては“顧客戦略”として電子お薬手帳を、薬局に対してはクラウドによるデータの一元化を提供する。電子お薬手帳については、NTTドコモ・ベンチャーズの出資を受け、GooCoとの連携を視野に入れている。クラウド化に関しては、店舗ごとのデータ管理が主流であることから、「データを束ねることで、どの店舗を訪れても処方情報を共有して飲み合わせの確認ができる。24時間の問い合わせにも対応可能だ」(遠藤氏)と利便性をアピールした。

 レセコン事業では、低コストを武器に勝負する構えだ。「医科では日本医師会が作成した安価な『ORCA』(日レセ)があるが、薬局にはスタンダードが存在せず、導入費用が高い。我々は、医薬品同様にレセコンもジェネリックと捉え、“ジェネリックレセコン”を安価に提供していく」(遠藤氏)。そして激動期をビジネスチャンスと捉え、電子薬歴を軸にさまざまな可能性を探っていきたいと結んだ。