グリーベンチャーズが主催する「Digital Health Meetup」。その第8弾が2017年6月22に開催され、ピッチセッションには4社のベンチャー企業が登壇した。今回登壇した4社は、順に、アンター、Ubie、Moff、BiPSEEである。

【アンター】医師同士のQAとAIの回答を同一サービスで

 最初に登壇したのは、医師同士の情報共有プラットフォーム「Antaa QA」などを運営するアンター 代表取締役の中山俊氏。Antaa QAは、整形外科医でもある中山氏が経験した「医師は専門分野以外を診察するケースも多い」という現状を踏まえて開発したiOS向けのスマホアプリだ。

アンターの中山俊氏
アンターの中山俊氏
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 中山氏は「医師にも分からないことは多い」と語る。これを解決するために重要なポイントとなるのが「情報共有」。そこでAntaa QAでは、医師同士のコミュニケーションネットワークを構築して知識を共有するとともに、米IBM社の「Watson」を活用した情報提供を実現している。

 医師が現場で情報収集する際、「実際にはGoogleなどで調べているケースは多い」と中山氏は指摘する。しかし、「Googleでは不便な面も多く、それなら医者同士で話し合った方がいい」(同氏)というのがAntaa QAの着想だ。

 Antaa QAでは実名制を採用。幅広い専門領域に渡る医師が登録しているという。「24時間以内の回答率は98%、2時間以内でほぼ全ての質問に回答がつく環境ができている」(中山氏)と語る。

 Antaa QAの質問内容を調べたところ、3割が医薬品に関するものだったという。医師が医薬品で知りたい内容は、厚生労働省が出している薬の取扱説明書である「添付文書情報」に記載されているケースが多い。そこで、Watsonを活用して欲しい情報のみ切り出してくる仕組みを構築した。機械学習でその精度を高めているとする。

 このようにAntaa QAでは、医師同士のQ&AとAIによる回答を同一サービスで同時に提供している。「これらを徐々に組み合わせていくことで、サービスを成長させていく」のが中山氏の狙いだ。今後、「医療情報を正確かつ瞬間的に返せるサービスを目指す」と語った。