普段使用しているスマートフォンに、視覚障害者のためのサポート機能があるのをご存じだろうか。代表的なものとして読み上げ機能がある。iOSの場合は「VoiceOver」、Androidの場合は「TalkBack」と呼ばれるもので、設定項目の目立たない部分にあるため、意識したことがない人がほとんどだろう。

 この機能は視覚障害者にとってスマートフォンを使用する際に欠かせないものだが、習得するまでにそれなりの時間を要する。Appleの「Apple Store表参道」では毎月2回、VoiceOverを含むサポート機能紹介と実践を兼ねたワークショップを開催しており、2016年5月19日にその様子を報道陣に公開した。

Apple Store表参道におけるワークショップの様子
Apple Store表参道におけるワークショップの様子
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 5月19日は「Global Accessibility Awareness Day」でもある。これはWebサイトやモバイル機器、アプリ操作などのアクセシビリティ(障害者であっても健常者と同等の情報アクセスを可能にすること)について学んだり、見聞を広めたりすることを目的として定められたもの。ワークショップには視覚障害者のみならず、Web企業のアクセシビリティ担当者や、家族に使い方を教えたいという人など健常者も参加した。

 以前からアクセシビリティに注力してきたAppleでは、最近オンラインストアでアクセシビリティ関連の周辺機器を扱うようになった。例えばクリック音と触覚で反応を知らせるスイッチや、タッチを感知して音楽を作れるミュージックインタフェースなど、視覚障害者の操作を補助したり、デバイスをより楽しめるようにしたりする製品を用意する。

オンラインストアで扱っているアクセシビリティ関連の周辺機器
オンラインストアで扱っているアクセシビリティ関連の周辺機器
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 しかし、これら周辺機器はあくまでもエクストラなものだ。iOSデバイス(もちろんほかのスマートデバイスも)は直感的かつ容易なタッチ操作が基本だが、それは目が見えていればこそ“直感的かつ容易”なのであって、視覚障害者がiPhoneやiPadなどを利用するためには、まず視覚サポートのイロハを学ぶ必要がある。